2014年10月27日
「第100回 全国消防長会予防委員会」
日時:平成26年10月23日(木)13:00~17:00
開催場所:鹿児島県鹿児島市
概要
Ⅰ 総務省消防庁より情報提供
「予防行政の動向について」(「平成26年度 予防行政のあり方に関する検討会」)
1. 対象火気設備等省令の見直しについて(26年度中にまとめ平成27年度に改正を予定)
(1) 蓄電池設備の規制単位等の検討
アルカリ蓄電池、鉛蓄電池、リチウムイオン電池のいずれも規制単位は、4800Ah・セルとなっているが、それぞれの蓄電池の電力量には差が出ている。水素の発生リスクを考慮し、規制単位のあり方について検討中
(2) ガス厨房設備・器具の品目追加等の検討
JIS規格の改正でガスグリドルが追加されるため離隔距離について実験を行い、省令別表第一に追加することを検討中
(3) 電磁誘導加熱式調理器に係る別表適用範囲の検討
IH調理器の総消費量が、4.8kWから5.8kWになってきているため、離隔距離について省令別表第二に5.8kwの製品に係る規定を追加することを検討中
2. 光警報装置の普及方策
光警報装置の設置対象や設置場所、発行色(白or赤)や既存の配線を活かした設置方法などを検討中
※ 普及させるために法制化を行うかガイドラインによる任意設置を促すかについても検討中
3. 大規模地震に対応した消防用設備等のあり方
(1) SP設備の耐震基準に関して
◆ 特定天井の基準を満たす天井で、具体的な施工指針の策定を検討
◆ 地震発生時に、SP設備の機能維持が困難な場合は、ソフト面で補うことを見直す方向で検討(自衛消防組織の活動など消防計画に盛り込む)
(2) 無線通信補助設備の設置義務拡大
(3) 自家発・消火ポンプ等の劣化点検の義務化
4. 防災管理制度の実効性向上及び見直しについて
防災管理に係る消防計画の内容、自衛消防組織の活動要領について、明確化しておくべき事項を整理し、自衛消防組織の相互連携のあり方について検討中
5. 違反是正の実効性向上について
(1) 立入検査の課題として「実施計画の策定」と「進捗管理」
(2) 違反事務の代替執行制度の推進を検討
- 消防法施行令改正について
(1) 「避難のために患者の介助が必要な有床診療所・病院」のSP設備の設置基準見直し
◆ 診療科や病床の種類、夜間の管理体制などにより設置対象外
◆ 水道直結型SP設備の設置可能施設を拡大
(2) 消火器及び火災通報装置の見直し
(3)経過措置
◆ 新築施設:平成28年4月から適用
◆ 既存施設のSP設備:平成37年6月末まで
◆ 既存施設の火災通報装置設備:平成31年3月末まで
7. 住宅用火災警報器の設置率調査方法の見直しについて
(1) 原則として訪問調査とし、対象を無作為に抽出することを検討
(2) 設置世帯、一部意設置世帯又は未設置世帯の区分に全国統一の予定
※ 設置率79.6% 条例適合率66.9%(平成26年6月1日現在)
Ⅱ 議題審議
1. 住宅用火災警報器の新たな基本方針について
住警器の設置義務化がなされてから、まもなく10年を迎えるため、電池切れなどが懸念される。
消防庁に対し、適切な維持管理として、劣化した住警器の取り換えの推進を図るなど新たな方針を示すことを要望する。
【消防庁コメント】
今後は、劣化した住警器の取り換えを推進していくことも重要である。また、住警器の設置率や条例適合率を踏まえると、未設置のところに設置を推進していく必要があると考える。
2. 焼き肉店の出火防止対策について
焼き肉店の火災原因は、グリス除去装置、火災伝送防止装置及び排気ダクトの清掃が不適切であることが挙げられるため、装置に付着した油脂を清掃する要領や排気ダクト等の点検口の大きさや取付位置を定めるなどの基準化することを、関係団体に要望する。
【消防庁コメント】
(一財)日本ガス機器検査協会が、業務用ガス機器の設置基準を改定するとという動きもあるようなので消防庁も改定作業に参画したいと考える。
Ⅲ 情報交換
1. 歴史的建造物の点活用事例について
古民家や町屋などの歴史的建造物を飲食店や旅館、イベント会場として活用する場合、消防用設備の設置の困難性から利用が制限された事例や断念した事例について情報交換された。
2. 用途判定の合理性、統一性確保について
用途判定の判断が消防本部毎に異なると、消防用設備の設置義務にも差が生じる可能性があるため、近隣消防本部と用途判定に係る審査基準等の情報共有を図ることについて検討された。
この件について情報交換された。
3. 長屋の一部に宿泊施設が入居した場合の消防用設備等の取扱いについて
長屋の空き住戸を、宿泊施設や飲食店として活用する場合、複合用途防火対象物になることがあり、規模により自火報の設置を求めることとなるため、令32条の適用を含む各消防本部の取り扱い方法について情報交換された。
4. 立入検査計画策定方法、違反是正状況の把握・進捗管理方法、違反処理体制の構築に係る取組状況等について
火災危険性の高い防火対象物の検査頻度や悪質性が高い重大違反対象物などに対する厳格な違反処理を実施するにあたり、各消防本部の立入検査計画策定方法や違反処理体制の構築などの取り組みについて情報交換された。
Ⅳ 情報提供
1. 屋外に設置されたキュービクルの火災について
キュービクル内の真空遮断器から出火する火災及び発煙事故についての情報提供
2. 火災調査に関する文書提出命令申立事件に伴う対応について
火災原因調査書類一式について、裁判所から民事訴訟法第223条に基づき、文書提出命令が行われた事案について情報提供
3. 表示制度において既存不適格を審査の対象とする基準の策定について
建築構造等が既存不適格である対象物について、実態に応じた代替措置により安全対策を講じた場合の特例基準を策定したことについて情報提供
4. 移動販売車から出火した事案について
移動販売車内の調理器具から漏洩したLPガスに引火し負傷した火災について情報提供
5. 消防研究センターの事業について
消防研究センター主催のイベントの説明や研究計画、火災等原因調査への取組等について情報提供
6. 日本消防検定協会の業務について
消防機器の検定業務や調査研究について情報提供
7. 日本防炎協会の事業取組状況について
住宅防火対策を推進するにあたり、防炎講座の開催や防炎ポスターの配布等を実施していることについて情報提供
8. 日本消防設備安全センターからのお知らせについて
消防交流広場の開設、消防用設備等の経年劣化に対応した点検方法等検討会及び消防用 設備等点検済表示制度の現況について情報提供
9. 住宅用火災警報器の維持管理と交換促進について
定期交換を促進するチラシの作成・配布について情報提供
以上